・ アイソレーションキーと6段配列なキーボード
ThinkPad SLシリーズの時も物議を醸した
6段キーボード。今回のThinkPad EdgeおよびX100eは、更に
アイソレーションキーまで採用してしまいました...
キーボードと言えばThinkPad最大のセールスポイントのひとつ。それが、ものすごい変化をしているわけです。幸いなことに、削減されたキーは昨今のPCでは殆ど使われないScroll LockキーとPauseキーで、
Home/Endキー、Page Up/Downキーは独立したキーとして存在しています。
Page Up/Downキーの位置がちょっと問題な気もするのですが、とりあえずキー省略されていないことには意義が見いだせるかな、と。
アイソレーションキーについては、今回のThinkPad Edge/X100eの最大のキーワードである
「ThinkPadの経験をもっと多くのお客様へ」の最大の象徴。実は、
アイソレーションキーを使ったキーボードの方がコストが高くなりやすいそう。それでも、このタイプのキーを使ったのは、今までThinkPadを敬遠していたユーザー層を取り込むため。個人的には「打ち損じ」が心配なアイソレーションキーですが、
キーの隙間等、結構考えられて作られています。コストを削った結果、打ち心地まで悪くなってはいけませんので、
今までのThinkPad同様、きちんと計算をした上で作っているそうです。
複数人のテスターによる目隠しテストでは、今までのThinkPad同様のうち心地を確保できていると判定されたそうです。実際打ってみても、そんなに悪くないです(他社ノートPC以上既存ThinkPad未満みたいな感じ?)。
[ThinkPad EdgeとX100eのキーボードに関する考え方のスライド]
ところでEdgeとX100eのキーボード、よーく見比べると、キーの配列・形状以外に大きな違いがあることに気付きます。
ThinkPad Edgeのキーボードのファンクションキー部を見ると、機能アイコン表記がより大きく表記されている事に気付きます。実は、
出荷時の状態では、単独でファンクションキーを押すと、印字されているアイコンの機能が起動するようになっています(素のファンクションキーとして使いたいときはFnキーと組み合わせる)。ちょうど、Mac OS Xのファンクションキー動作の標準設定と同じ感じです。ただ、Edgeの場合はOS Xと異なり、
Fnキーとファンクションキーの動作を変えるにはBIOSで設定しなければいけない(=要再起動である)のですが。
一方、
X100eのアイコンプリントに関しては、今までのThinkPadを踏襲しており、Edgeのようなファンクションキーを単独で押すとアイコン通りの機能が起動する、というギミックは用意されてすらいません。
TrackPointのクリックボタン周りもT400s以降の「プレミアムモデル」(ここではEdge/X100eに対して「プレミアム」)と同様のデザインです。これは、
X100eの想定顧客層が、既存のThinkPadオーナーを含んでいるところにもありそうなのですが。
なお、EdgeとX100eのTrackPointについては、キャップは今まで通りのものが使えます。また、今年リリースの新世代モデルからの特徴である、FnキーとCtrlキーのBIOSレベルでの機能入れ替えが実装されています。稼働OSに関わらず使えるのがメリットですが、再起動必須なのが...
[TrackPoint部分。キャップは従来品をそのまま利用可能。]
[BIOSでのFnキーとCtrlキーの入れ替え設定画面(X100eの場合)]
・筐体デザイン
EdgeとX100eは、繰り返しですが、
「ThinkPadの経験をもっと多くのお客様へ」が最大のテーマな訳です。
ThinkPadが個人で敬遠される原因としては、その価格も考えられます。昔と比べると、だいぶ安くなりました。しかし、同業他社のノートPCと比べると、価格競争力に欠ける事実は変わりません。
もちろん、高いのには理由があります。ThinkPadの特徴のひとつである強固な筐体を実現するために、高価な素材を利用するなどしているからです。
今回の
Edge/X100eは、価格競争力を得るために高価な素材を使うわけにはいきません。その上で、ThinkPadのウリである強固な筐体は絶対外せない訳です。
そこで、今までのThinkPadとは異なり、
筐体の構成要素を重ねることで強度を得る「縦壁構造」を採用しています。この縦壁構造によって、
ThinkPad名物の「拷問テスト」にも合格しています。
また、
「黒くない筐体」が気になる所でもあります。
"Black Bento Box"がThinkPadらしさを形成している部分が結構あるものの、実は過去をひもとくと、黒くないThinkPadもあった訳です。
[黒くないThinkPadの例(左:330Cs・右:Z60t)]
個人的には、
330Csぐらい思い切っても良いんじゃないか、とも思うんですが、流石にそこまでやるとアレなのか、
EdgeとX100eでは本体の中は黒で統一して、外観に黒以外のカラーを用意しています。
[ThinkPad Edgeのカラーバリエーション]
[ThinkPad X100eのカラーバリエーション]
ThinkPad Edgeは、黒も赤もつや出しで、結構指紋が目立つかもしれません... どちらかというと個人ユーザー寄りなので、つや出し(液晶もグレア)になったのかもしれません。一方、X100eは、つや消しのカラーになっています。
アークティック・ホワイトは、特に素敵な色合いで、100台ぐらい欲しい感じです。また、
Web直販限定のヒートウェイブ・レッドも良い感じです。
こうして見ると、黒くないThinkPadも悪くないな、と信者らしくないことを言ってみようと思います。
と、いうことで、2点に絞ってThinkPad EdgeとThinkPad X100eを見てみましたが、このご時世、
「変わらず、変わっていく」のも相当難しいんだなぁ、と思いました。
Tx10やWx10シリーズ等は、今まで通りの「変わらず、変わっていく」象徴であると思います。その上で、「ThinkPadの経験をもっと多くのお客様へ」ということを考えると、ThinkPad「らしさ」を維持しつつ新しいチャレンジをしていく必要があるご時世なのかな、とも。それが、EdgeとX100eが世に出た理由なのかと。
[ThinkPad EdgeとThinkPad X100eの開発アプローチ]
今までのThinkPadが「ハイスタンダード」志向であったのに対して、
EdgeとX100eは「アッパースタンダード」志向なのだと思います。同じブランドで、2つの開発アプローチ。伝統的な「変わらず、変わり続ける」ThinkPadと、スタンダードを引き上げる存在としてのThinkPad。これからどのような「しんか」を遂げるのか、いちThinkPad信者として見守りたいと思います。
[おまけ その1]
毎回恒例の、解体モデルも展示されていました。しかもこれら、組み立てればちゃんと動くんです。展示終了後、Lenovo Japanのスタッフの方が元通りに組み立てていました。
[おまけ その2]
ThinkPad(とThinkCentre)のWindows 7プリインストールモデルには、Thinkテーマがプリインストールされています。Windows 7を優待アップグレードで入手した自分は、Thinkテーマが入っていないんですよ... 今日、Lenovo Japanの方にもお願いしましたが、ダウンロード提供を強く希望する次第で... お願いです。提供して下さい!!
[おまけ その3]
AMNが、ブロガーミーティング参加者の記事を一覧できるブログパーツを作って下さったので、貼っておきます。